以前ウェブ上で、Rockin'on編集長渋谷陽一氏が若くてアイディアに溢れた確信犯的アングラ主義のアーティストが明らかに全盛のようなこの時代に、あえてPOPの王道を豪語しながら精力的にらしくカッコよくあり続けることを目標にするという彼らのスタイルには相当な知性を感じると言っていたのを見て、まさにだなって思いました。POPSの存在理由、POPSだから出来ること、その可能性の幅をぐんぐん切り開いている彼らみたいな連中がいると、やっぱHEROも捨てたモンじゃないなって実感させられます。ではこのLive映像についてですが、とにかくLIVEがウマイ!!の一言に尽きます。やっぱ経験の総量が違いますね。あれほどの規模で、あれほど小技を随所に忍ばせながら、もの凄く自然に音楽を楽しんでる感が120%伝わってきます。そしてそれはミスチルに限ったことじゃなくって、付属説明書の最後に小林氏も記していましたが、カメラや照明クルーたちの技術もトップレベルなんですね。背中越しのビッグスクリーンのLive用映像も凝ってるし。一回のLiveにあそこまでコダわれるってのがスゴイ。それらのアートワークだけでも必見であり、そこにご存知あのミスチルの名曲たちがドカンっと構えるわけですから、そりゃエンターテイメントとしては申し分ありません。
内蔵されているディスクは2枚。Liveの前半10数曲と、後半10数曲。その他に、双方のDiskに特典映像やメンバーのインタビュー映像が仕込まれております。それがまた実に実にミスチルらしい清清しくかつほんわかした出来であり、強制的に肩の力を抜かされること請け合いです。プラス、ファンだったら絶対欲しい結構フランクでPOPでカラフルな写真集内蔵。ぼくは別にそこまで好きじゃないんで、そこまでしてくれなくてもよかったんですが、つまりお腹一杯もいいところ、ゲップが出そうなほど全部込められています。
ちなみに個人的に好きなのは、かなりベターに「掌」と「ニシエヒガシエ」の連続攻撃、手術を終えて、家族を持った桜井さんの最近の方向性がかなり清清しい理想主義に傾き過ぎてるかに見えてたため、あのLiveで「ニシエヒガシエ」の絶望と葛藤がまだ影を潜めていないことを確認出来て嬉しかったです。