虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)
紛れもなく傑作だと思う。なんとも言えない感動に胸が締め付けられる短篇集だ。
正直、最初の二篇「星の恋人」「ヴァイオライト」を読んだ段階では、まだ少し不思議な感触を覚える程度だった。よくある雰囲気モノか、と。
しかし「日下兄弟」を読み終える頃には、完全に心を持っていかれていた。ヒナのひたむきな想いに、思わず目頭が熱くなる。彼女はきっと、笑っていたと思う。
そしてラスト「虫と歌」は禁断の果実だ。まるで、答えを教えられるのではなく、求められているような。涙を流すことに罪悪感すら覚える読後感。これがデビュー作で、その洗練された作品が「星の恋人」だと考えると、あの結末で終わらせることにも納得がいく。
神秘的で科学的。ファンタジックな側面を持ちながら単なる「良い話」に収まらず、ここまで堂々と生命と向き合っている作品はない。時折見せるおかしな掛け合いに和みながらも、大胆に仕込まれた残酷なカラクリが、無性に切なさを掻き立てる。虫や植物などを通して描かれているが、どうしようもないほど人間の物語である。
若者よ、ケータイ小説で泣いてる場合じゃないぞ。
ムシウタ 第1巻 限定版 [DVD]
初めて書きます。ムシウタを最初に買ったのは、実はDVD6巻でした。目的はアニメ本編ではなく、特典CDに収録された水樹奈々さんの歌のみ!!なので本編は再生することもなくそのまま放置してました。理由はレビューの評価が著しく低い事!以上一点!!しかし暇だったので、見てみると、「あれ?面白いかも」と思い、慌てて再生をヤメ、一巻〜五巻を買い最初から見直す事となりました。第一話〜十二話まで一気に見ましたが、十分に面白かったと思います。自分は、正直ドラマCDという物が苦手なのですが、特典CDに収録されている話の方も十分に楽しく聴かせていただきました。水樹奈々さんのCDをコンプリートするには避けては通れないのでもし同様に集めている方、本編も十分面白いと思うので見て下さい。水樹奈々さんは関係無い!という方は格安でDVD-BOXが出てるのでそちらの方をオススメします。
「機巧少女(マシンドール)は傷つかない」プロローグEP「MACHINE DOLL」
機巧少女(マシンドール)は傷つかない」を読んだ人
にはわかると思うが、曲調や歌詞が凄くマッチして良い。
原作も次巻が待ち遠しい。
ムシウタ〈01〉夢みる蛍 (角川スニーカー文庫)
この作品に登場する人物は、皆が夢を持ち、それを追いかける。全員がどうしようもなく不器用で、回復できないほどに傷つき、それでも譲れぬ大切なものを追いかける。その姿には、夢を持つ人ならば必ず共感を覚えるはずだ。
この巻だけで判断すれば、構成力は優れているが、ストーリー展開そのものは、やや粗い。しかし、この作家の実力が出てくるのは次巻からだ。一巻だけ読んで投げ出さず、次巻を読んでから評価を定めるのがいいと思う。岩井恭平は、それだけの価値を持った作家である。